「ロルフィングで外側の“鎧”が取れたら、今度はもっと深いところの硬さに気づいたんです」
そう話してくれたのは、30代後半の男性クライアントさん。
長年「ストレッチしても硬さが戻る」「疲れが抜けない」「怒りや笑いといった感情の通りがどこか鈍い」と感じてきたそうです。
ロルフィングでふくらはぎと前腕の硬さが今までになく抜けたことをきっかけに、疲れが取れやすくなったらメンタルも沈みにくくなったとのこと。
今回は、その変化の流れと、実際にどんなことを感じたのかをほぼ本人の言葉でご紹介します。
ロルフィングを「姿勢がよくなる整体かな?」くらいに思っている方にこそ読んでいただきたいお話です。
「歪んだコルセット」が整った感覚
「僕の感覚だと、ロルフィングで“歪んだコルセット”が整った感じなんです。外側が柔らかくなって、動きやすくなった」
最初に感じたのは“外側”の変化だったそうです。
ふくらはぎと前腕の硬さが取れたあたりから、身体の感覚が一気に増したと話してくださいました。
「こあくつさんが5回目を2回に分けたじゃないですか。あれ、素晴らしい判断だったと思います。あそこで一気に変わった。『え、今までこんな状態で生きてたんだ…?普通の人はこんなに疲れないのか!』って思いましたね」
「使い方」の指摘があったことも印象的だったようです。
「和の身体の使い方の本、紹介してもらったじゃないですか。階段上るときに片手をパーにするやつ。あれ忘れて普通に上ると『あ、損した!』って思うくらい違うんですよね。
“硬くなる使い方をしていたから筋膜が硬くなる”って説明されて、ああ、なるほどなって」
セッションで「整える」だけでなく、硬くなりにくい「使い方」を日常で実践されていたことが、変化を定着させる後押しになっていました。
外側の鎧がほどけると、内側の硬さが見えてくる
外側が楽になって初めて、もっと深いところの硬さに気づいた——この方の感覚の鋭いところです。
「外側は鎧が取れたままで順調なんですよ。だけど、“ここだけはほぐれづらい”っていう深いところが残ってて。ストレッチじゃないなと思った。で、多分心因的なものだろう、ってことでローゼンメソッドを始めたんです」
ローゼンメソッドは感情の滞りで固くなった身体をゆるめるボディワーク。日本ではやっている人がとても少ないそうです。
「ロルフィングでもう外側は整った。だから今度は中。で、これやったら、ストレッチももっと効くようになるだろうなって。今までストレッチが嫌いだったのって、『やっても戻るよな』ってどこかで思ってたからなんですよ。
でも本当は、先にやるべき“準備”があったんですよね」
感情の通りと身体──横隔膜・みぞおちの奥がゆるむとき
この方は「感情の通り」についても敏感でした。
「もともと笑いの通りはよくなったんです。肩が上がりやすかったところをやってもらった時(9回目くらいだったかな)に、それがなくなって、笑いがスッと前に出てくる感じがした。
けど、“怒り”だけは、まだ我慢するクセが残ってるなって気づいたんです」
この「怒りだけが出にくい」という気づきから、「これは構造だけじゃなくて感情の履歴が関係してるな」と読み取り、ローゼンメソッドの“横隔膜へのタッチ+感情の話”のアプローチがしっくりきたそうです。
「外側にタッチしてるだけなのに、昔の“なんで我慢するようになったか”を話してると、内側——横隔膜とか、こめかみの奥とか——がほどけてくる。あ、やっぱ心因的なものデカいな、って」
「疲れが取れるようになった」=メンタルも沈みにくくなった
“生活レベルで”一番助かったのはこれだそうです。
「もともと不安を強く感じる時があって、そこに“体の疲れ”が乗ると一気に落ちるんですよ。
でも今は寝ればリセットできるようになった。仕事した翌日に1日つぶれる、みたいなことがほぼなくなりました。人生の効率が上がりましたね」
さらに年齢的に諦めを感じていたことについて話してくださいました。
「年齢とともに疲れが取れにくくなるって、みんなあることだと思って諦めていたことが、ボディワークで改善できることってあるんだよなって。
僕の場合、今思うと20代後半から“なんでこんなに疲れるんだろう”って思ってた。多分あの時点でふくらはぎ中心に筋膜がガチガチだったんだと思うんです。
それが今やっと取れた。もっと早く知りたかったですけどね(笑)」
「終わりがある」ボディワークの安心感
「整体とかストレッチもいいと思うんですけど、どこかで“イタチごっこだよな、これ終わんないよな”って思ってたんです。
でもロルフィングって“10回でワンセットです”っていうゴールがあるじゃないですか。あれ、すごくいい。終わらないものって不安を増長すると思うんですよ。
後半になったら『あ、あと2回で終わるよね、そうだよね』って体でも分かってくるし。で、その後は必要なときにメンテに行けばいい。あの形がすごくいいです」
誰にすすめたいか?──「姿勢を何とかしたい人」からでも入れるように
最後に「誰にすすめたいですか?」と聞いたとき、面白い視点が返ってきました。
「ロルフィングに興味がある人は、そのまま“ロルフィング体験”で来ればいいと思うんですよ。でもそうじゃなくて、『猫背なんとかしたい』『巻き肩どうにかしたい』っていう人って別にいるじゃないですか。
その人たち向けに“猫背改善(ロルフィングを使います)”みたいな単発の入り口があってもいいと思うんですよね。
“ロルフィングって10回で1セットです”って、興味ある人にとっては“え、10回で終わるの?すごい”なんですけど、やったことない人にとっては“10回やらないといけないのか…”っていうハードルにもなるので」
さらにこんなことも…
「一般の人って、姿勢が崩れるのは骨の問題だと思ってる人が多い気がするんです。でも実は“筋膜のクセ”って説明されると、すごく腑に落ちると思う。
ロルファーの人たちには当たり前でも、そこが一般には伝わってない。そこをもっとシンプルに出せたら、もっと広がる気がします」
これは、まさに私が日々考えている「どう伝えれば届くか」について大きなヒントになりました。
まとめ:外側→内側、構造→感情、使い方→自立
ロルフィングを受ける前は「ストレッチしても戻る」「整体に行ってもまた硬くなる」だった人が、
“構造を整える→使い方を変える→感情の層にも届く”という流れを実感している、なかなか貴重な証言になりました。
これは個人の体験であって、すべての人が同じ順番になるわけではありません。けれど、
「外側が整うと、ようやく内側が見えるようになる」
ロルフィングの面白さは、まさにそこへ行ける“準備”をしてくれるところにあります。


